
追いかけると逃げるし、離れると近寄る。
女って奴は、本当に難しい。
僕には、ずっと気になっている女性がいる。
僕の美容室に通ってくれていて、艶々の黒髪と美しい瞳が印象的な女性。
とある有名な大学に通っている学生で、どうやら**助教授の事が気になってるらしい。
そんな恋話をモヤモヤしながら聞いていた。
相談に乗るって事を理由に、何度か彼女と店外で会っていた。
やがて、授業が終わるとドライブに出かけたりする程度には距離は縮んだ。
でも、以前は月一でお店に来てくれていたんだけど、最近お店に顔を出してくれなくなった。
お店に顔出してくれないから、ドライブに誘う事も出来ない。
彼女とはLINEで繋がってるけど、ガツガツ誘うのも格好悪いよなぁ。
格好とか気にしてウジウジするぐらいなら、当たって砕けろだ!
そう思って、僕は彼女にLINE送信。
すぐに彼女から返信が届いた。
ドキドキしながら開いてみると、OKの返事!
そして、久々のデート当日。
待ち合わせ場所にいた彼女の瞳は、相変わらず可愛らしくて美しかった。
しかし僕は彼女を見て、少し戸惑った。
艶々していた美しい黒髪は、少し栗色に染まっている。
何より、少し傷んでいる。
最近お店に来なかったのは、そういう事か。
他の美容室に、行ってたんだね。
あんなに美しかった髪が…可愛そうに。
気を取り直してデート開始。
彼女の学校の近くまで歩くと、彼女は授業があるので解散すると言い出した。
え!?
会ってまだ1時間も経ってないよ?
そう言えば、何か僕に冷たくない?
戸惑う僕を余所に、彼女は信号を渡りキャンバスの門をくぐろうとしていた。
気が付いたら、僕もキャンバスにいた。
冒頭でも綴ったけど、女って奴は追いかけると逃げるし、離れると近寄る。
彼女に媚びるのを辞めた途端、一気に形成はこっち側に傾いた。
もう、優しい自分を演じるのは辞めよう。
キャンバス内であんな痴態を見せてくれたんだから、ホテルでも期待出来そうだ。
82分11秒
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